世界の高度経済成長期の中で、タイでも次々と新しいコンクリートの建物が建ち続けていた1900年代後半。その同じ頃、時代の波に逆らうようにアメリカ南西部のニューメキシコ州で土の家建築アドビスタイルを学んでいた人物がいました。元、お百姓さんだったジョン・ジャンダイさん。土の家に使う土・藁・竹などの自然素材は元々タイでも昔から生活の中でよく使われているものです。母国でも、こうしたエコロジーな家は造れる、と思ったジョンさんはタイへ帰国後、全国各地に出向いて無償でその技術を広めていく活動を開始。年月をかけたその活動は次第に実を結んでゆき、関心を持つ人も少しずつ増えていきました。

ここ北タイのチェンマイで、第一号の土の家がチェンマイ大学美術館の敷地内に造られたのは2002年のこと。これが、後にディンディーとなる建物だったのです。

当時、約30名の有志たちが集まり泊まり込みで作業をして約2週間で外装が完成。その後、建物は学生の多目的スペースのために利用される予定でしたが、内装が行なわれないまま長い間そこに静かにたたずむことになりました。

2002年12月 建築当時

この建物に私が出会ったのはその3年半後の2006年5月。
懐かしい湿った香り、ヒンヤリとした土の感触、温かみのある丸い壁。ここをカフェにしたらきっと気持ちのいい空間が生まれる。そう直感した時、この土の家が光を放ち始めました。

2006年5月 当時の様子

2006年当時の様子


2006年11月。賛同してくれた土の家の仲間たちの協力のもと、チェンマイ大学に許可を得て、お店造りが始まりました。外壁と屋根しかなかったのではじめに電気や水道を引き、裏にキッチンとなる建物を増築。土の家の作業としては壁に雨が当たらないように屋根の軒の長さを伸ばして茅葺を足し、外内壁全体を土と砂で塗り替え、壁に穴を開けて窓やドアの古材やガラスをはめ込んだりしました。内側の天井には竹ゴサをはり、鉄筋は竹で目隠し。床には清潔を保つためにコンクリートを流し、また、お店の奥には少し高めのお座敷台を作りました。家具は大方知り合いに頼んで作ってもらい、仕上げは新スタッフと一緒にヤスリがけや色塗りをしました。そんな感じで改築には全部で4ヶ月を費やしました。

こだわったテーマは、シンプル&ナチュラル。元々あった家の形や自然をできる限りそのまま活かすように、周りにある木の枝をできる限り切らず、土壁も独特のボコボコ感を残しました。完成までの道のりは決して順調なだけではなかったけど、みんなで一つひとつ造っていったあの期間はまさにディンディーの原点です。

2006年11月‐2007年3月 リフォーム期間



2007年3月17日「土の家のカフェ DinDee」がオープン

完成したDinDee

2007年3月17日「土の家のカフェ DinDee」がオープン

国籍・年齢・性別・地位も関係なく、いろいろな人が「土の空間」の中で交わり良い関係を育んでいけるよう、ディンディーではこれからも様々なアプローチをしていきます。